虎のつぶやき
アダム・スミス 自由主義
2023/09/18(月) 09:20:00
本日は経済学の父といわれるアダム・スミスについて解説します。
スコットランド生まれでエジンバラ大学を卒業して教壇に立ちます。
パリでも教えた後、故郷に帰って晩年を過ごしました。
彼の功績を一言に要約すると「重商主義の否定」です。
重商主義とは、国内にお金がたくさんあった方が国が豊かになるという思想です。
当時は金貨、銀貨が流通した時代ですから、これらを外国との貿易で獲得し、
国内に貯めていこうとしたのです。
一見するとよさそうですが、農村が荒廃する原因になりました。

ここで例を出します。
フランスの立場に立ってみます。馬車を輸入するとして、ドイツは銀貨10枚で売っています。
スペインは銀貨9枚で売っています。当然スペインから買います。
ドイツはこのままでは売れないので銀貨8枚に値下げします。
そしたらイタリアが銀貨7枚という値段で新規参入し始めます・・・

このように価格競争が起こり、各国の輸出品の値段は下がっていきます。
そうなると馬車を作る職人の儲けは減っていく一方です。
値上げしたくても、国家がそれを許しません。
職人たちはやめてしまおうとしますが、それでは貿易ができなくなるので
安い賃金でも生活できるように、今度は小麦の値段を無理やり下げさせます。
その結果、農民たちは適正価格で小麦を売れなくなり、農村は深刻な打撃を受けたのです。

これではいけないと唱えたのがアダム・スミスです。
経済、産業に国家が干渉してはならない。自然淘汰の末、価格はいずれ適正になる。
神の見えざる手によって。そうすれば経済は発展していく。
彼の主張によって、当時の常識は覆されました。

その後しばらくは自由主義が主流になりますが、また国家が規制した方がいいという
主張が起こります。
それがケインズ経済学です。
次回は現代史にも影響を与えたケインズについて解説します。