回路/システム開発
新たな商品の生み出しは、「失敗を重ねる」ことから始まる。
回路/システム開発
鈴木 健之
鈴木 健之
たとえ現状が100%不可能な状況でも、
社員の希望と魅力的な未来があれば挑戦できる。
デジタルスキャナの回路やシステムの設計に携わる鈴木。前職ではディスプレイメーカーで画像回路の設計を担当していたが、当時のディスプレイ分野はアナログからデジタルへの急激な技術変革が巻き起こっていた。鈴木はその変化に自らを対応させながらも、自らが良いと考えた工夫やお客様のための機能実装が実現しにくくなる現実に、仕事の面白さを感じづらくなっていた。「テレビもモニターも競合の機能を真似したり、真似されたりばかり。技術で何かを解決する機会が少なくなっていました」。そんな時にキーエンスからオファーがあり、転職を決意する。「キーエンスならさまざまな分野や商品で、自分の技術を生かしながら挑戦できそうだと感じたのが決め手になりました」。
入社後は、アナログの回路設計技術の腕を買われてアナログスキャナの回路設計を担当するも、間もなくスキャナの分野にもデジタルの波が押し寄せる。だが当時のキーエンスは、デジタルスキャナを開発する上で必要な精密制御やモータ製造といった要素技術を持っておらず、完成までに何年かかるかわからないという状態。それでも鈴木は挑戦することを決めた。「当時は完成までの道のりは見えていませんでしたが、デジタルスキャナは速度や精度といった商品の性能向上がまだまだ期待できる分野でした。きっと会社はそこに魅力を感じ、挑戦させてくれたのだと思います」。
入社後は、アナログの回路設計技術の腕を買われてアナログスキャナの回路設計を担当するも、間もなくスキャナの分野にもデジタルの波が押し寄せる。だが当時のキーエンスは、デジタルスキャナを開発する上で必要な精密制御やモータ製造といった要素技術を持っておらず、完成までに何年かかるかわからないという状態。それでも鈴木は挑戦することを決めた。「当時は完成までの道のりは見えていませんでしたが、デジタルスキャナは速度や精度といった商品の性能向上がまだまだ期待できる分野でした。きっと会社はそこに魅力を感じ、挑戦させてくれたのだと思います」。
最終ゴールに辿り着くためならば、
あらゆる手段で前進できる開発環境。
開発がスタートすると、鈴木はレーザーマーカに使われる回路全般の設計を担当することに。しかし、ガルバノスキャナやリニアモータ、それらを制御するサーボドライバの設計は困難を極めた。もちろん前職の経験には大いに助けられたが、メカトロニクス、制御工学、信号処理、接着や加工など、必要となる技術分野はどんどん広がっていった。デジタル制御技術は、「通常なら求める技術を持つ企業と提携するのですが、我々が求める技術は企業や論文を探しても無くて…。結局、大学と共同研究をしながら学んでいく選択をしました」。
苦労してデジタル技術の基本を習得した鈴木。だが実際の商品開発に生かすには、DSPで信号処理し、これに合ったエンコーダやモータを製作していくという難関があった。これは社外の協力会社のスペシャリストからアイデアを募るとともに、社内に作られた開発チームが課題解決をスピードアップしてくれ、見事に商品化までこぎつけた。「ゴール到達に必要なものを社内開発での調達にこだわらないのがキーエンス。スピードやコストを考慮した上で社外から購入したり、大学と共同研究したり。もちろん必要なら、相応の時間を掛けて技術取得に通り組むことも認められています。どんな手段にせよ、必要なものは最も合理的な方法で取り入れるという姿勢が良いと思います」。
「ひとつの案件で専門のアナログ技術だけでなく、デジタル、ソフト、機構設計など多種多様な技術に携わるのが楽しい」と鈴木。それは多様な技術に精通していないとバランスの良い設計ができないからである。たとえば、素晴らしい制御回路が設計できても、制御対象となるモータやミラーの挙動を知らないと性能を十分に発揮できない。逆に、制御対象の剛性や振動を把握していたとしても、制御回路の特性を知らないと性能を発揮できないのも事実だ。「技術要素を一つひとつ突き詰めることで性能が徐々に上がっていきますが、他のメンバと性能向上に関する議論を重ね、バランスを意識して改良を重ねることでも性能は向上します。両方を積み重ねることで高い性能を発揮し、最後にはお客様の喜ぶ姿に繋がります」
苦労してデジタル技術の基本を習得した鈴木。だが実際の商品開発に生かすには、DSPで信号処理し、これに合ったエンコーダやモータを製作していくという難関があった。これは社外の協力会社のスペシャリストからアイデアを募るとともに、社内に作られた開発チームが課題解決をスピードアップしてくれ、見事に商品化までこぎつけた。「ゴール到達に必要なものを社内開発での調達にこだわらないのがキーエンス。スピードやコストを考慮した上で社外から購入したり、大学と共同研究したり。もちろん必要なら、相応の時間を掛けて技術取得に通り組むことも認められています。どんな手段にせよ、必要なものは最も合理的な方法で取り入れるという姿勢が良いと思います」。
「ひとつの案件で専門のアナログ技術だけでなく、デジタル、ソフト、機構設計など多種多様な技術に携わるのが楽しい」と鈴木。それは多様な技術に精通していないとバランスの良い設計ができないからである。たとえば、素晴らしい制御回路が設計できても、制御対象となるモータやミラーの挙動を知らないと性能を十分に発揮できない。逆に、制御対象の剛性や振動を把握していたとしても、制御回路の特性を知らないと性能を発揮できないのも事実だ。「技術要素を一つひとつ突き詰めることで性能が徐々に上がっていきますが、他のメンバと性能向上に関する議論を重ね、バランスを意識して改良を重ねることでも性能は向上します。両方を積み重ねることで高い性能を発揮し、最後にはお客様の喜ぶ姿に繋がります」
世の中にないものを作り出す第一歩は、
いつも厳しく、そして楽しい。
「ゼロから始まる開発が多いだけに、最初の一歩が難しい」と鈴木。ガルバノスキャナも、リニアモータやサーボドライバを市販品の寄せ集め環境で動かすことが最初の一歩だった。しかし、すべてが初めてなので当然うまく動かないし、すぐに壊れてしまう。壊れる原因を求めてあらゆる可能性を潰していく作業は、本当に心が折れそうになる。「最後に判る原因は、プログラムの1文字打ち間違いといった些細なことが多いのですが、見つけるまでどんどん気持ちが厳しくなるんです。でも最初の一歩が一番大変ですが、一番楽しいんですよ」。
もちろん苦労だけじゃなく、心地よい成功体験を味わうことも多い。たとえば、従来はアナログサーボで高速位置決めを実現してきたところをデジタルでアナログ同様に動くものを作れた時は、大きな希望を感じたという。「当時はまだ製品には使えるようなレベルではありませんでした。しかし現在のキーエンス商品には、デジタルスキャナが普通に搭載されている。キーエンスの商品全体をレベルアップさせることができたと自負しています」。
もちろん苦労だけじゃなく、心地よい成功体験を味わうことも多い。たとえば、従来はアナログサーボで高速位置決めを実現してきたところをデジタルでアナログ同様に動くものを作れた時は、大きな希望を感じたという。「当時はまだ製品には使えるようなレベルではありませんでした。しかし現在のキーエンス商品には、デジタルスキャナが普通に搭載されている。キーエンスの商品全体をレベルアップさせることができたと自負しています」。
新技術を身につけ、仕事に役立てたいという想いは、
上下関係なく良い意見やアイデアを採用する風土から。
これからも未知の技術分野やまだ触れていない技術分野を身につけ、将来の商品開発に生かしたいと考えている。「物事を論理的に考えて浮かんだアイデアを自分の意見として言えて、良ければ採用されるというところがキーエンスに共通する良さだと思います」。実は、鈴木の趣味はものづくり。技術書や測定器が並ぶ自宅で新しい仕事のアイデアを考えることも少なくない。ただ、趣味と仕事が近づきすぎたこともあり、今は自宅で取り組む趣味のものづくりは控えている。しかし「今は大電力のインバータに興味があります。仕事に役立てば良いんですけどね」と笑顔で語り、どうやら控えるのは難しいようだ。
身体を動かすことの重要性も感じており、休日や仕事帰りには水泳を続けているという。「水泳は仕事につながりませんから(笑)。心身のリフレッシュと、次の日を新たな気持ちで迎える切り替えスイッチの役割を果たしてくれています」。
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身体を動かすことの重要性も感じており、休日や仕事帰りには水泳を続けているという。「水泳は仕事につながりませんから(笑)。心身のリフレッシュと、次の日を新たな気持ちで迎える切り替えスイッチの役割を果たしてくれています」。