仕事と人を知る
志望動機を教えてください。
大学時代は農学部に所属し、研究室では植物工場を作り、ベビーリーフなどの植物にLEDやナノミストを当て、生育環境による成分変化を分析していました。卒業後は、工業分野の非破壊検査という放射線や超音波を用いてポイラーや建造物を検査する民間企業に就職し、主に発電所や化学工場で働いていました。そこで本格的に放射線について勉強し、興味を持ったことから、放射線管理を行う民間企業に転職しました。より深く放射線のことを学ぶ中で、視野を広げて様々な分野から放射線に携わっていきたいと思うようになり、QSTへの入構を決めました。
現在携わられているお仕事の内容を教えてください。
QST千葉地区には、放射線を扱う病院や研究施設が数多くあります。私が所属する部署では、千葉地区で行われる放射線同位元素(RI)を使った研究や治療において、安全を確保するための「個人被ばく管理」や「法令に基づく申請業務」などを行っています。現在私が携わっているのは「法令に基づく申請業務」です。研究・医療行為を行うためには、適切に法令を遵守しなければなりません。放射線安全課では、研究や医療行為が安全に、そして、定められた法令や規程に則って行われることを証明する申請書を作成し、原子力規制庁や労働基準監督署等の行政機関に届け出ています。
お仕事の中で心がけていることは何ですか?
申請業務は、部署や職種を超え、ユーザーである研究職や医療職の方々と関わりながら進めていく仕事です。申請が通るまでには時間が掛かりますし、時には行政機関から指導が入ることもあるため、ユーザーとのコミュニケーションが欠かせません。適切に申請するためには、相談しながら進めていくことが必要で、信頼関係を築けていなければ、細かいところまで詰めきれません。「研究や医療行為を成功させたい」というユーザーの強い気持ちに、常に誠実な姿勢で技術職として貢献できるよう、これからも邁進していきたいです。
お仕事におけるやりがいを教えてください。
QSTには多種多様な研究施設や医療施設があるため、放射線管理として経験できる幅がとても広く、日々新しいことを吸収している実感があります。一方で、放射線研究の最先端機関であるために、前例のない新しい研究の要望もあることから、困難な申請業務もあります。先輩方や外部機関の情報を得るなどし、試行錯誤し、形になった時には、大きなやりがいや自分自身の成長を感じます。こうした貴重な経験を積めるのはQSTならではですから、得られる経験値は高いです。
お仕事における社会的な意義はどんなところにあると思いますか?
無事に申請が通り、研究や医療行為が実現することは、新しい治療法や技術開発へとつながります。その結果、多くの方々のためになっていると思うと、この仕事の大切さを改めて実感します。私たちの仕事は直接的なものではありませんが、安全管理がしっかりできているからこそ、治療や研究が問題なく行われております。また、患者さんだけでなく、研究職・医療職の方が安全に作業する環境を作ることも欠かせません。研究職・医療職の方の業務は強い社会的意義があるからこそ、彼らが危険にさらされないよう、時には厳しく線引きをして、私たちも責任感を持って業務に従事しています。
QSTならではの働きやすさはどんなところにあると思いますか?
在宅勤務の推進や、育児介護支援が整っているため、性別年齢問わず働きやすい環境なのではないでしょうか。私自身も子育て中なので、在宅勤務や休暇制度を活用させていただいております。基本的に、技術職というものは、現場仕事が多く、在宅勤務しづらい職種です。そのような中、仕事と子育てを両立できるように、調整していただけていること、周囲の方々には心から感謝しています。どの立場であっても働き続けられるような制度が整っているのは、QSTならではだと思います。
今後成し遂げたい夢や目標を教えてください。
私自身、今は様々な経験をしながら知識を蓄える時期と捉えているので、放射線という一つの分野に留まらず、安全管理の面から幅広い分野を見て視野を広げていきたいです。今後の目標は、知識や放射線の魅力を機構外の方々に広めることです。一般の方が考える放射線は「怖い、危険」といったイメージが強いかと思いますが、それが全てではありません。QSTは、一般公開なども実施しているので、そうした機会に放射線を身近に感じていただき、結果として放射線分野に貢献できる人材なれたら嬉しく思います。