虎のつぶやき
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個人主義と集団主義3
2023/11/16(木) 09:25:00
前回の続きです。
日本は、古くは多神教でした。
アニミズムの社会を形成しており、絶対的な神は存在しません。
この点において一神教の欧米とは違うのです。
社会との断絶があっても神がいると感じる欧米人のようには
行かないのです。
プライベートも社会と共有しないと孤立を招きます。
孤立をすると、自分一人になった気持ちになって耐えられなくなります。
それに、昔は農耕社会でしたので、村八分にされると生きていくのも
困難になります。
孤立は死を意味したのです。

オウム真理教はこのように孤立した人をうまく勧誘しました。
多神教の文化だから孤立するのです。ならばオウムという一神教の信者にして、
心のつながりを持たせれば孤独にはなりません。
社会はほめてくれませんが、オウムはほめてくれます。
このような人間の弱い心を利用した教団でした。
弱いから記者会見で上祐は、逆ギレするしかないのです。

ここからわかる通り、社会との断絶は深刻な問題を引き起こします。
ネットでも構いません。宗教でも構いません。
正常な心を保てるように社会とつながることが重要です。


次回予告 ユングとフロイト~意識と無意識~
個人主義と集団主義2
2023/11/10(金) 09:08:00
前回の続きです。
クラスでみんなと違うことをしても欧米ではさほど問題ではありません。
それは個人主義という発想があるからです。
個性なのだから尊重されるべきなのです。
海外留学したら日本なまりの英語を使うことを日本人は恥ずかしがりますが、
欧米人はそれもその国の個性だとして受け入れてくれます。
その背景には宗教が関係しています。
すこし難しい話をします。
キリスト教の信仰の厚い歴史のある欧米では他人とのつながりがなくとも、
神と常につながっている感覚があるのです。
村八分にされようが、クラスで浮こうが孤独になりません。
その人には神がいるからです。
そして他人はだれであれ神の意思によって生を受けたのですから、
尊重されるべきなのです。
余談ですが、十字軍戦争のときイスラム教徒を迫害したように、
神を否定する異教徒にはとても厳しい対応をします。
しかし、日本に来た宣教師ザビエルのように人種に関係なく
神を信じる者は受け入れます。

一方、日本人は個性よりも集団の秩序を優先します。
今回はこのあたりにして、続きは次回とします。
個人主義と集団主義~日本と欧米の違い~
2023/11/02(木) 09:37:00
まずわかっておくべきことは、個人主義と利己主義の違いです。
意外とここを理解せずに言葉を使っている方が多いように思われます。
利己主義は英語ではエゴイズムというように、要はわがまま、自分勝手、自己中心的な
考えのことです。
個人主義はまったく意味が違います。
一人一人はかけがえのない存在なのだから大切にしようという考えです。
自分も相手も大切にするのです。
「自分がこうしたいからするんだ」というのは利己主義です。
なぜならその発想の中に相手がいないからです。
上記を踏まえたうえで、個人主義の欧米と集団主義の日本の特性を理解していきましょう。
まず、欧米にはプライベートという価値観が古くからあります。
たとえ家族であれ個人の空間を侵害してはならないのです。
一人ずつ部屋があり、自主性を尊重します。
ここに一つ例をあげましょう。
学校のクラスを思い出してください。
みんなと違うことをするとクラスで浮くという状況になったと思います。
日本人にとっては苦痛でしょう。人と違うことには孤独が伴うからです。
しかし、欧米の人はあまり苦痛ではありません。
長くなるので、なぜかは次回とします。

デカルト二元論2
2023/10/26(木) 09:13:00
前回のつづきです。
感情を排除し、理性によって対象化して客体を観察するという
表現がやはり少しわかりずらそうですね。
理科の実験を思い出してください。
植物がどう育つか、酸素の中に火を入れるとよく燃えるなど。
そこには感情は必要ありません。観察によって得た客観的事実のみが
重要です。
中世までは神様がどういう教えをくれたかが大事ですが、近代は
そうではなく観察から得た事実が優先されます。
そしてこれが科学です。
その結果ヨーロッパでは科学技術の発展により産業革命が起き、
世界を席巻します。
しかし、問題もありました。イギリスでは公害や社会病理が蔓延し
町には子どもたちがあふれていました。
二酸化炭素が大量に排出され地球温暖化や環境汚染が各国で起きるようになりました。
科学の弊害が起きているのです。
この状況を超克できるか、世界の終焉を迎えるかは我々にかかっています。

次回予告 個人主義と集団主義~日本と欧米の違い
デカルト二元論~世俗化の過程~
2023/10/20(金) 09:12:00
本日は現在の科学の基本となるデカルト二元論(物心二元論とも言います)を
紹介します。
まずは中世のヨーロッパがどのような世界だったかを知るところから始めます。
一言でいうとWE LOVE THE GOD です。
キリスト教大好きな世界です。
この世のすべてはキリスト教的世界観で理解されていました。
ガリレオが地動説を唱えても宗教裁判で否定されるのです。
事実よりも宗教がとても大事だったのです。
しかし、色々と研究していく過程でおかしなことがたくさんあることに
気づくのです。
神が人間を作り、この世界を作ったのですから地球が宇宙の中心だとされていました。
にもかかわらず、天体観測をすると太陽の周りを地球が回っているのです。
コペルニクスの主張でようやく地動説が受け入れられました。
このように宗教を中心とした思想から脱却することを世俗化といいます。
では宗教の後は何を中心に世界と向き合うのか。
それがデカルト二元論です。

感情を排除し、理性によって対象化して客体を観察するのです。
難しい表現なので簡単な例を出します。
お付き合いしている相手がいるとします。
最近マンネリになってきました。
その時に出る「しばらく距離をおこう」がまさに対象化です。
つまり、今まで好きという感情が最優先されてきましたが、
距離を置いて恋人を客観的に観察してこれからも関係を続けていくか
考えることです。
こうすることで、相手を冷静に評価するのです。
中世では神様大好きな世の中でしたが、これからは距離を置こうとなったのです。

長くなりそうなので今回はここで一旦切り上げて続きは次回とします。